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ジャグリング・エンターティナー ダンディGOの旅行記
2002.1.16(水)〜2.1(金)
<南イタリアの旅>
南イタリア紀行(シネマの旅)
去年の夏、「マレーナ」と言う映画を観た。
シチリアを舞台にしたこの映画、
内容もよかったが、特にその情景と郷愁をそそる不思議なその色が心に残った。
そういえば、南イタリアを舞台にした作品は多い。
「南イタリアはみんなこんな色をしているのか?」、「この景色を生でみたい!」
むしょうに行ってみたくなった。
こうして僕の「南イタリア、映画を巡る旅」がはじまった。
ボンジョルノ
スタートは、南イタリア最大の都市ナポリ。
ここには、沢山の見どころがある。
「旅愁」もここから始まるし、「太陽がいっぱい」でアラン・ドロンが冷やかす魚市場もある。
カプアーノ門映画では多分この奥の広場で魚を売っていたのだと思う
まず、あの歌で有名なサンタルチア地区からスタートしたが、
観光客らしき人がすれ違いざま、「サンタ〜〜〜ルチ〜〜ア〜」を口ずさんでいたのには思わずニヤリ。
実は、私も心の中で歌っていたのだった・・・
サンタルチア湾の向こうにそびえ立つベスビオ山は、どこか富士山に似ていた
「マカロニ」に登場するヌオーボ城、卵城、サンタキアーラ教会、ガレリアを訪ねる。
ヌオーボ城 卵城
特に卵城は、外見より内部の方が面白かった。
後で聞いた話だが、普段は立ち入り禁止だそうで、どうして入れたのか定かではない。ラッキー!
サンタ・キアーラ教会にあるマヨルカ焼きのキオストロ(回廊つき中庭)は映画の通り美しかった
ガレリアのカフェで名物のババ(日本でいうサバラン?)を食べる
ウ〜ンまずい!帰りがけに行列のできるババの店を発見!!しまった!!!
とくに映画には関係ないが、次に周る予定のポンペイやアマルフィ海岸の拠点とするため、ソレントへ。
リゾート地らしく、パステル・カラーのかわいい建物が目立つ。
「うるわしのソレント〜〜〜」
ナポリ湾の断崖に建つエクセルシオール(ホテル)のテラスで海を見下ろしながら・・・
ベスビオ火山の噴火で埋もれてしまった古代都市、ポンペイの遺跡を半日かけてゆっくり回った。
遺跡を巡り歩いているうちに、2000年前にタイム・スリップした様な感覚に陥る。
そういえば「旅愁」で、主演の2人がガイドに伴われて歩く姿が印象的だったな〜、
ベッキアおばさん
ポンペイの新市街で昼食にと立ち寄ったベッキアおばさんの店で食べたマルゲリータ(ピッツァ)は、とってもうまかった!
ここらでちょっと一休み、憧れの島カプリでリゾート気分!
カプリ島といえば、青の洞窟!
残念ながら冬は見られる確立が少ないと聞いていたが、
やっぱり見ることが出来ず、ガックシ・・・!(天気もそう悪くはなかったのだが・・・)
そのかわりと言っては何だが、アルコ・ナチュラーレ(天然のアーチ)見てきましたよ
「あ〜、こんなところに住んでみたいな〜」と呟きながら歩く路地は、飽きることがない
細い路地でも、こんな風に行き先がしっかり表示されているので安心!
家々の門には、番地や、カプリ島にちなんだ図柄等のマヨルカ焼きのタイルがはめ込まれ、どれもお洒落!
シーズン・オフの為、観光客は少なく、ホテルもお店も殆ど閉まっている。
「旅愁」の2人が泊まったホテルは、いったい何処だったのだろう・・・?
レストランを探すのも一苦労。
「家のワインは、オリジナルだから」と手招きする怪しいおじさんの店に・・・ウン、意外とオイシイ!
いよいよシチリアに上陸、まずはパレルモから。
僕の想像とは違い、パレルモは都会だった。
ただ、古い建物は、歴史的というよりは煤けた感じで、
特に旧市街は、今にも崩れてしまいそうなものが多く、汚く騒々しい。
「ゴットファーザーPart3」のマッシモ劇場
マッシモ劇場はシチリアを代表する劇場だけあって、堂々としていて立派。
昼間見るより夜の方がライトアップされていてキレイ、あのラストシーンがよみがえります。
運良く、結婚式を終えた2組のカップルが現れ、
カメラマンは2人に映画のワンシ−ンの様なポーズをとらせ撮影を始めた。
日本ではちょっとお目にかかれないこの光景、面白かったな〜!
パレルモから曲がりくねった山道を走る事1時間あまり、コルレオーネ村に着く。
正直、思っていたイメージとは程遠く、あまり魅力のない所で、写真も撮らなかった。
コルレオーネの出身地というだけで、実際にはここで撮影が行われた訳ではないらしい。
それから更に眺めのよい山道を1時間ほど、
くねくね道に少しばかり気持ち悪くなりながら、到着したところは、
今回のメインの1つでもある、「ニューシネマパラダイス」のロケ地、パラッツォ・アドリアーノ。
僕が見たかったあの色、あの景色・・・少しばかり車が多いことを除けば、
まさにイメージ通りの映画の世界がそこにあった!クゥー、感激!!
恥ずかしながら、この時の為に用意したダンディスタイルで、宣材用の写真を撮りまくった。
あの広場にてどこからか、あの曲が流れてきそうでしょ?!
セットのパラダイス座は、取り壊されていた。
撮影のためアンテナを取り外し、2ヶ月もテレビを観るのをガマンしたり
村人達の協力のもと、6ヶ月かけてこの映画は出来上がったという
そんな村人達がやさしい笑顔で迎えてくれた。
パレルモ郊外のモンレアーレには「ブラザーサン・シスタームーン」のドゥオモがある。
映画では、どう言う訳か、ローマになっているのだが・・・?
外はこんな感じ 内部のキリストのモザイク画、う〜ん、何だかスゴイ!
ちなみに、ここパレルモで滞在したグランドホテル・エ・デ・パルメは、
格調と気品を備え、どこをとっても絵になる素敵なホテルでした。
ホテルの中で、またまたダンディスタイルで写真撮影をしていたら、
スタッフに「ここがいいぞ」と言われて、撮ったのが<ドン・ゴルレオーネ>
ドン・ゴルレオーネ ホテルのスタッフと
「ニューシネマパラダイス」の海と駅のシーンのチェファルの美しい海沿いの風景を
車窓から楽しみながら、
いつしか列車は、「グラン・ブルー」で観た、シチリア最大のリゾート、タオルミーナに着いた。
ジャックとエンゾが宿泊したホテル・サン・ドメニコ・パレス
そして「情事」のラストに使われたのも、このホテルです。
赤く色を塗り替えたエンゾの車が横付けしたホテルの入り口 ガラスの回廊
大会の表彰式は、この中庭で行われていた。
そして、テラスではイオニア海のパノラマを楽しむ。
後ろに見える半島の先っぽに、カポ・タオルミーナがある
海の幸のパスタを大食いするシーンのレストランはカポタオルミーナというホテルにある。
残念ながら、中心街から離れた所にあり、冬季はお休みの為、遠くから眺めるだけ。
この映画、実はエンゾのモデルが「自分の描き方に納得いかない」と、訴訟を起し勝訴したため、
イタリアでは、上映されていないそうだ。
不思議な話でしょ!?
ぽつんと浮かぶ島イゾラ・ベッラは干潮時に本島とつながるらしいが、僕の見た限り、いつもつながっていた
ギリシャ劇場から見た、エトナ山(これまた富士山そっくり)
今回のもうひとつのメインであり、旅のきっかけとなった「マレーナ」の
ロケ地は、シラクーサの旧市街オルティジア島にある。
撮影場所となったドォーモ広場
広場のカフェで軽い昼食を取りながら、ゆったりとした時間を過ごす
この広場に入った途端、時間が止まってしまったような錯覚に陥る
静かで、なんて気持ちのいい所だろう
ここでも、僕はあの色と景色に出会う事ができた
最初は怪しげに見ていたお店の人も、そのうち笑顔をかけてくれる
この旅を締めくくるのにはうってつけの素晴らしい所だっった
僕の思い描いていた南イタリアは、
映画の場面のような所ばかりだと思っていた。が、
実際には、それとは違い、イメージとかけ離れたものが多かった。
しかし、映画のシーンに使われたポイントだけは、想像どおり、いや、それ以上に感動させてくれた。
「あの色、あの情景が観たい!」と言う僕の願いを叶えてくれた。
よくぞこんな情景を探しあてたものだと、
あらためて映画の素晴らしさ、そして旅の面白さを実感した。
アリベデルチ
南イタリア紀行(予期せぬ出来事)
15日間の南イタリアの旅を楽しみ、少しの名残惜しさを感じながら、
カターニャ空港からミラノで乗り換え、東京に戻る予定だった。
シチリアで2番目に大きな街というのに何も無い小さな飛行場、他に日本人の姿は見当たらない。
予期せぬ出来事はここから始まった。
ローマから北が濃霧の為、飛行機が飛ばせないという。
しかもミラノの状況がつかめず、乗り継ぎの便の事もわからないらしい。
掲示板から目が離せない・・・
キャンセル便が出るたびに、何度もカウンターへ足を運び変更手続きをする。
乗り継ぎが出来なければ、今日は日本に帰れない。
映画『旅愁』よろしく
次の便の出発時間までタクシーで観光にでかけようか・・・?
ローマまで飛んで、前回ほんの少ししか立ち寄る事ができなかったフィレンツェにでも行ってしまおうか・・・?
などと一瞬思いをめぐらすのだが、どうやらそんな場合ではないらしい。
つのる不安の中、その日唯一飛び立ったミラノ行きの便に乗ることが出来た。
この時点ですでに乗り継ぎの便はない。
空港で一夜を過ごす事になるのか・・・?!
ホテルは近くにあるのか・・・?!(南イタリアのガイドブックしか持っていなかったのだ)
しかし、ここで運良く日本人の団体に遭遇する。
ミラノでも相次ぐキャンセル便の為、同じように日本に帰れなかった人たちが、
航空会社の計らいで、今からバスでホテルに向かうという。
間一髪、バスに乗り込むことができた。
助かった!
深い霧の中、着いた先は空港から1時間程の所にあるコモ。
意外な展開に戸惑いながらも、この時点でどこか気持ちに余裕がでてきたのは、
団体でいる安心感と、リゾート地コモ湖のきれいなホテルのせいだったのかもしれない。
無料のオプショナル・ツアーだなどと言って、
翌朝には 、コモ湖畔を散歩する人も多かった。
何をかくそう、私もその一人だが・・・
再び、バスで空港に行き、チェックインして荷物を預ける。
珍しく DUTY FREE SHOPに立ち寄り買い物をしてしまった、
出発時間が遅れても、皆の表情が曇る事はなかった。
「今日は帰れるんだ!」と誰もが信じていたからだろう。
しかし、我々は「飛行中止!」のアナウンスを飛行機の中で聞いた。
信じられなかった・・・こんな事があるものなのか?
昨日に続いて2度までも、しかも今度はエンジン・トラブルだと言う。
濃霧の様な自然現象と違い、航空会社の責任は免れない。
不安と怒りで一杯になりながら、重い荷物を引きずり、からっぽの財布とともに
マッジョーレ湖畔のホテルへ(約300名は、6台のバスに分乗、3つのホテルに運ばれた)
50分程のところと聞いていたが、良くない事は重なるものだ。
バスの運転手の勘違いで一旦ミラノにもどり2時間かけて到着した時は、すでに夜中の12時。
皆の疲れきった顔。
いつ日本に帰れるのか?仕事はどうなる?責任は誰が取る? 身内は心配していないだろうか?
恐らく皆、同じ思いであったに違いない。
仕事で来ている人や新婚旅行のカップル、年配の方々、リストラを心配する人、
気の毒だったのは、網膜はく離の手術を日本で受ける予定だった人、
皆それぞれの事情を抱えていた。
だが反面、このような状況下では、団結心も芽生えてくるようで、
自然にグループが出来上がり、お互いの事を気遣い、協力し助け合うようになる。
あるツアーの添乗員などは、関係のない我々個人客にまで面倒を見てくれた。
こういう状況だからこそ、垣間見れた日本人のやさしさ、穏やかさ、まじめさ、行儀良さ、
いつもの海外旅行では、決して味わう事の出来ない不思議で貴重な体験。
もしかしたら私はこの出来事を、心のどこかで楽しんでいたのかもしれない。
翌日、さまざまな思いを載せた飛行機は、
当然のように、予定を1時間半遅れて、ミラノを飛び立った。
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